バイクでツーリング中、ふと立ち寄ったサービスエリアやパーキングエリアで、見知らぬおじさんに「何ccのバイク?」「いくらで買ったの?」と聞かれた経験はありませんか?そんな、バイクの排気量や値段をやたらと聞きたがる人々を、ライダーたちはちょっとした愛称をつけて呼んでいます。それが「イクラちゃん」や「ナンシーおじさん」です。
こうしたおじさんたちは、やたらと話しかけてきて、バイクのことを根掘り葉掘り聞いたあと、自分のバイク話に持ち込むことが多いのです。そのため「気軽に休憩したいのに、長話が始まるかも…」と、ライダーたちの中では「イクラちゃんに捕まると面倒だなぁ」とちょっとした警戒対象になっています。
そもそも、なぜイクラちゃんはバイクの排気量を気にするのでしょうか?イクラちゃんたちの心理には、「人とつながりたい」という気持ちや、「自分の経験を誰かと共有したい」という欲求が隠れている場合が多いようです。
バイクというのは、その人の趣味やスタイルが現れるものでもあり、またそれに多くの情熱を注いでいる人が多いですよね。イクラちゃんも若いころに乗っていたバイクの思い出を共有したいと思い、ついついライダーに話しかけてしまうのです。「自分はこういうバイクに乗っていたんだ」と語ることで、心の中で過去の自分をもう一度思い出して楽しんでいるのかもしれません。
イクラちゃんやナンシーおじさんの話は、時に長くなることがあり、ライダーにとっては面倒に感じることが多いです。ですが、彼らにとっては話しかける相手が見つかるということが重要だったりもします。バイクに関することはお互いの共通の話題になるので、「その排気量でどれくらい走るの?」とか「これはいくらで買ったの?」などの質問から始まり、「俺も昔はこんなバイクに乗っていたんだよ」と語り出します。彼らにとっては、もしかすると「聞いてくれてありがとう」という気持ちがあったり、少しでも相手にされていることで孤独感が和らいでいるのかもしれません。
しかし、バイクに乗っている人の多くは、移動中に自分だけの時間を楽しみたいと思っていることが多いため、「聞かれたくないな」と思うことも事実です。特に一人でツーリングをしている時などは、「ちょっと休んで出発したい」と考えることが普通でしょう。そのため、イクラちゃんに捕まったときには、話が長くなる前に切り上げたいというのが本音なのかもしれません。
もしPAやSAで休憩中にイクラちゃんやナンシーおじさんに話しかけられたら、長い話に巻き込まれないようにうまくやり過ごす方法があります。彼らの目的は、自分の経験を誰かに話して、少しでも「分かってもらいたい」という思いを満たすことにあるので、適度に「へぇ、すごいですね」「なるほど」と相づちを打ち、短めに感心を示してみましょう。
また、「ちょっと用事があるので」といった理由を使って、その場を離れるのも効果的です。「実はこれから急いでいるんですよ」「もう少ししたら出発しないと」と言えば、イクラちゃんたちも「そうか、またどこかで」と去ってくれることが多いです。ポイントは、なるべく角が立たないように相手の気持ちも尊重しながらも、軽くほめたり相づちを打つことです。彼らも、次のライダーを求めて別の場所へと行くでしょう。
不思議なもので、ライダーも年齢を重ねると、自然と同じような質問をしたくなるときがくるかもしれません。実際、バイクに乗っていると思い出す過去のエピソードはたくさんありますし、「昔はこうだったんだよなあ」と誰かに共有したくなることもあるでしょう。
また、バイクに限らず、自分が夢中になってきた趣味や道具について「これ、どうやって使っているんですか?」と聞かれると、つい話が長くなることは珍しくありません。自分では気づかないうちに「イクラちゃん化」している可能性もあります。
つまり、イクラちゃんやナンシーおじさんは、ライダーならいつか誰もがなるかもしれない存在なのです。いざ自分が年齢を重ね、若いライダーに出会ったときに「あのころはこんなバイクに乗ってたんだ」と語ってしまうことがあるかもしれません。だからこそ、イクラちゃんたちの気持ちを少しでも理解することで、そうした出会いがまた違った意味で面白いものに感じられるかもしれませんね。
バイクというのは個人の趣味でありつつ、自然と他のライダーとの会話や交流を生むものです。イクラちゃんやナンシーおじさんといった「排気量聞きたがりさんたち」は、やや長話が得意で困ってしまうこともありますが、同時にバイク好き同士のコミュニケーションの一環でもあります。そこで、あまりにも煩わしいと思うのではなく、「バイクの楽しさを共有したい人たちなんだな」と心に余裕を持つのもおすすめです。
また、彼らとの会話で「自分はこういうバイクに乗っていて、楽しいと思っている」ということを伝えることで、お互いが共通の話題で盛り上がることもできます。特に自分が乗っているバイクに強いこだわりがあるなら、同じようにバイクが好きな人たちとの情報交換も刺激になるかもしれません。
結局のところ、イクラちゃんやナンシーおじさんは、バイクに関する興味や思い出を持ち寄り、それを誰かと分かち合いたいという気持ちの表れです。彼らが話しかけてくるのは、バイクに対する愛着の強さや、バイクライフへの熱い思いからくるものでもあります。少し時間に余裕があるときや、のんびりとした気持ちで話を聞いてみると、意外と面白い情報を得られることもあるかもしれません。
ただ、どうしても急いでいるときや、自分だけの時間を楽しみたいときには、「またどこかでお会いしましょう」と一言添えて、その場を去るのもひとつの手段です。イクラちゃんたちは意外と話好きなだけで悪意があるわけではないので、マイペースに楽しいバイクライフを続けましょう。