交通事故で人身事故となった場合、被害者に対し休業損害や治療費など損害賠償が支払われます。 この損害賠償額については、損害費目ごとに算出されるのですが、被害者が死亡した場合や、後遺障害を負った場合には、逸失利益に関して賠償があります。
逸失利益というのは、交通事故によって被害にあわれた方が、事故に合わなければ得られたはずの「将来の利益」の事です。
逸失利益については基本劇に将来の収入を現在に割り戻す形で計算されます。 被害にあわれた方が死亡された場合、将来得るはずたった収入から生活費相当分を差し引き計算されます。
被害者が死亡した場合の逸失利益は、将来の収入を一時金という形で受け取る事になるので、現在の価値に換算する際の利息分、中間利息「ライプニッツ係数」を差し引きます。
例えば34歳、年収400万という方が交通事故によって死亡された場合、生活費は収入額の35%として予測される収入から差し引き、就労可能年数33年に対しての中間利息控除係数(ライプニッツ係数)の16.003を差し引きます。
就労可能年数については、原則として死亡時から67歳までの期間、未成年者については67歳から18歳を引いた49年間、年金生活者については平均余命の年数を終期する、高齢者は簡易生命表(平均余命表)の余命年数の1/2と決められています。 34歳の方の場合、就労年数は67歳から34歳を引き、33歳となります。
これによって計算してみると収入額が400万で生活費は400万×35%で140万、400万から生活費の140万を引くと260万、これにライプニッツ係数をかけて、260万×16.003で4161万となります。
交通事故によって被害者の方が後遺障害を負ったという場合、生活費はかかりますので差し引きません。 傷害の程度、年齢や職業等に応じ、労働能力喪失率を計算することになります。
労働能力喪失率は後遺障害の等級によって定められており、第1級、第2級、第3級は100%です。
第4級・92%、第5級・79%、第6級・67%、第7級・56%、第8級・45%、第9級・35%、第10級・27%、第11級・20%、第12級・14%です。
収入額に労働能力喪失率、就労可能年数に対応する中間利息控除の係数(ライプニッツ係数)をかけます。
例として34歳で年収400万、後遺障害が残った被害者で等級が第6級だった場合は、収入額が400万、労働能力喪失率が第6級で67%、就労可能年数は67歳から34歳を引いて33歳となりますので16.003、400万×67%×16.003で4289万となります。
被害者の方が死亡という場合、家族の大黒柱であればその先、収入が入ってこないという状態になりご家族は交通事故以降、生活が大きく変化します。 後遺障害についても、それまでとは全く違う生活となるのですから、逸失利益が支払われたとしても、これが相応となるのかどうか、ご家族の状況によって異なります。
どれだけ補償をしても死亡、後遺障害となってしまったらその先、ご家族の生活は激変されるのですから、その点においては保険等で損害に対する補償が出来ても、精神的な面や生活に対するサポートはできないのです。
交通事故を起こさない、安全運転をすることが車、バイクを運転する人の責任ということを心に強く置いておくことが重要なのです。